※2023年10月9日時点
顧問先の経理から問い合わせがあり調べてみました。
売り手負担の振込手数料の取扱いで、売上先の処理は国税庁Q&Aに記載がありますが、買い手側の処理が確かにどこにも記載がありませんでした。
[国税庁Q&A]問29
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf#page=51
弊所としての基本的な指導は下記の通りとします。
1.売り手側
①振込手数料分が差し引かれて入金された場合
→ 売上値引きとして処理
この場合返還インボイスは不要。
[仕訳例]100,000円の売掛金 振込手数料 660円
普通預金[0] 99,340円 / 売掛金[0] 100,000円
売上値引[11] 660円
[仕訳例]売掛金処理していない場合
普通預金[0] 99,340円 / 売上[1] 100,000円
売上値引[11] 660円
②支払手数料で処理したい場合
[仕訳例]100,000円の売掛金 振込手数料 660円
普通預金[0] 99,340円 / 売掛金 100,000円
支払手数料[11] 660円
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※国税庁Q&A 問30
また、経理処理を支払手数料としつつ、消費税法上、売上げに係る対価の返還等とすること
もできますが、この場合であっても、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った
場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従う
ことから、適用税率に応じた区分のほか、帳簿に売上げに係る対価の返還等に係る事項を記載
する必要があります。
この点、支払手数料のコードを売上げに係る対価の返還等と分かるように別に用意するとい
った、通常の支払手数料と判別できるように明らかにする対応が考えられます。
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2.買い手側
①振込手数料を差し引いて支払った場合
→ 振込手数料合算で買掛金支払処理
[仕訳例]100,000円の買掛金 振込手数料 660円 支払金額99,340円+660円
買掛金[0] 100,000円 / 普通預金[0] 100,000円
[仕訳例]買掛金処理していない場合
仕入[5] 100,000円 / 普通預金[0] 100,000円
※本来の処理は下記の通りであると考えます。
買掛金 99,340円 / 普通預金 99,340円 ○○商店
買掛金 660円 / 普通預金 660円 ○○銀行
→買掛金[0] 100,000円 / 普通預金[0] 100,000円 でOK。
<下記が独自考察>
振込手数料[5] 660円 / 諸口[0] ○○銀行
諸口[0] / 仕入値引き[51] 660円 ○○商店
振込手数料については、銀行から発行されるインボイスが必要。
仕入値引きについては、返還インボイス不要。※売上値引きの返還インボイス不要を引用
ただ、現実的に処理が複雑になるため、
買掛金 100,000円 / 普通預金 100,000円 ○○商店
で指導していきます。
なお、各銀行は、振込手数料のインボイスを発行するようです。
https://www.saitamaresona.co.jp/hojin/oshirase/2023/detail/230915/
これについてもそのうち国税庁Q&Aが出ると思われます。
②実際の振込手数料より多く控除して支払った場合
例)買掛金100,000円 買い手側の振込手数料220円 差引支払額99,340円
差額440円
[仕訳例]
買掛金[0] 100,000円 / 普通預金[0] 99,560円
仕入値引[51] 440円
とあるサイトでは、受増益として、課税区分[0]と言うのも見受けられましたが、売上値引き同様勝手に引いているわけなので、仕入値引きとして処理するのが妥当と考えます。
今後も細かい不明点が多数出てくると思いますが、その都度検討していきます。
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