雑所得から事業所得に切り替わった場合の、青色申告承認申請書の提出期限はいつでしょうか。
まず、青色申告を受けられる方は下記の様に規定されています。
「事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う方」
ここで注目すべきは「業務」と記載されているところです。
業務とは事業として営んでいないけど、収入があるという状態を言います。
と言う事は、青色申告を受けられる方は
「事業所得を行う方」と「不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う方」
の2種類を指していると解釈できます。
不動産所得で言う業務は、事業的規模以外をいい、こちらは様々なサイトで紹介されていますね。
5棟10室基準が一般的です。 参照:国税庁 No.1373
山林所得でいう業務は、事業として営んでいない状態ですね。
では、「業務」と「事業」はどのように区別するのか。
判例を見てみましょう。
最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決(民集35巻3号672頁)
3ページ目下から3行目に記載があります。
「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」
これに該当しない行為が「事業以外」となります。図に表すと下記のようなイメージとなります。
では、最初の問題に戻ります。
青色申告承認申請書の提出期限について。
その年分以後の各年分の所得税につき青色申告の承認を受けようとする居住者は、その年3月15日まで(その年1月16日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から2月以内)。
事業所得の場合は、事業的規模以外を含まないため、その業務を反復継続して行っていなかったけど、今日からはその業務を反復継続して行う事となった。
これが業務を開始した日になると考えます。
今日を起点として、1カ月以内に開業届出を提出し、2カ月以内に青色申告承認申請書を提出すれば、本年より青色申告による確定申告が出来ると解釈します。
業務から事業的規模への切り替えは、正直言って判断が難しいですね。
「今日から俺は個人事業主だ!・・・」と自由に決められなくもないので、あまり確定的な情報が出ていないのでしょうか。
ちなみに、不動産所得、山林所得の場合は、既に業務を営んでいるため、事業的規模となった日から2月以内ではなく、その年3月15日までとなります。
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